デビュー17年以上を経てもなお、燦然と輝きを放ち続けるモデル、ケイト・モス。14歳のときにスカウトされてモデルデビューし、その後カルバン・クライン、シャネル、グッチなど数々のブランドに起用され、ヴォーグの表紙を24回飾った記録をもつ伝説といわれる存在にまで成長した。モデルとしては小柄な167cmという身長に、スレンダーすぎるボディ、決してパーフェクトな美人とはいえない顔立ち。彼女を時代のFashion iconにせしめたのは、その圧倒的な存在感と凛とした表情の美しさにあった。
華々しい活躍の反面、拒食症の社会問題から「痩せすぎ」と非難され、プライベートでは俳優やミュージシャンとの激しくスキャンダラスな恋を繰り返した。コカイン服用中の写真を掲載された後は「コカイン・ケイト」とまで誹謗され、活動を危ぶまれたこともある。だが、彼女を擁護するクリエイターやブランドに支えられて、奇跡的な復活を遂げる。ファッション界はもはや彼女なくして満足することはなかったのである。
2006年のブリティッシュファッションアワードにおいては、モデルオブザイヤーを受賞。イギリスのアパレルブランド『TOPSHOP』では自身がクリエイターとしてデザインを手がけた。舞台での役者デビューまで果たしている。30代半ばを迎え、一児の母となった今でもその輝きは衰えることを知らない。メディアに対しては慎重で、自ら個人的な発言をすることは稀だ。だが彼女をとりまく人々の声が、彼女の特異性を現している。
「ケイトは謎だ。彼女には現代人の集合的無意識に訴える何かがある。だから普遍的で、ひとつの時代の精神を体現している」(マーク・クウィン/彫刻家)
「メイクやヘアスタイルでイメージは次々と変わります。でも、ケイトはどんな時でもケイト・モスで確立している。彼女は自分をよく知っているし、どうあることが、よりケイトらしいかも知っている」(Rumiko/メイクアップ・アーティスト)
「ケイトは、美が単に顔の皮一枚ではないことを証明しています。彼女はスマートで聡明であり、ビジネスも理解しています。まさに真のアイコンとしてのすべての特性を持っています」(クリストファー・ベイリー/バーバリー クリエイティブディレクター)
「ケイトはとても毅然としていて、精神的に強い人。いつだってそうだった」(サラ・デユーカス/ケイトの所属AGENCY)
彼女の人生を振り返って、見えてくるもの。それは、彼女の魅力は、つくられた美ではないということだ。大きすぎる人気や誹謗中傷にも流されず、いつも自分で考え、自らの人生を強く歩んできたケイトにとって生きることとは、内面を含めた彼女ならではの美を追求し続けることなのだろう。まさに、ビューティスタ。彼女にとって美とは、人生そのものなのである。